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Ⅰ.再会(2/5)
パパに言われるまでもない。私だって、知っている。
自分が変わってしまったことくらい。
中学時代は本当によく遊び回っていた。相手は男子だったり女子だったり両方だったり、よく知らない先輩なんていうこともあった。
何かイベントがあれば声がかかったし、かかって当然だと思っていた。
……でも今はどうだろう。仮に中学時代のプチ同窓会みたいなやつがあったとして、私は呼ばれるだろうか。
当時はしおらしく『仲西さん、私も一緒に行っていいかな?』なんて私にヘコヘコしていた相手も、今は何故か『トウコちゃん、おひさー』みたいな態度になっている。
時間が流れ、皆変わったのだ。そして私は変われなかったのだ。
要は早熟だったんだろうと思う。私は中学時代の煌めきに極振りしてしまい、皆は高校に向け徐々にステータスを高めていった。
その結果、高校でステータスアップを果たした面々は何を生んだか?
……ギャップだよ、ギャップ。
ギャップって強いよね。もう世界はギャップで出来ているよね。
「え、あの子、中学では地味だったのにあんなに可愛かったの!?」
「あのオタクっぽかった子がギャルになって、俺、俺……!」
とかそういうの好きでしょ。特に男子ね。
中学時代に抑えめだった子ほど、振れるポイントを多く残しているのだ。
そして自分が『意外にイケる』と分かった子の勢いは凄い。
上昇気流オーラは人を輝かせ、更に周囲に人を呼ぶ。男子が寄れば、女子も迎合して持て囃す。そして有頂天時代の到来だ。
そう、それはまさに中学時代の私のように。
だから先のように、中学時代に会話したかも定かではないような子に、異様にフレンドリーに、もしくは上から目線で接されても、私は至って寛容だ。
むしろ心のどこかが痒くなる。そして『調子に乗りすぎて、私のようになるなよ』と切に願ってあげることにしている。
……私だって別に劣化したとは思ってない。
だけど劇的には変わっていないから、周囲の変化と比べて相対的に地味に映ってしまっているだけだと思う。
……多分ね。
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