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パンプキン伯爵🎃
パンプキン伯爵🎃が行方不明になった。
というのは毎年のこと。
ハロウィンの日に開催される、このお屋敷でのかくれんぼ大会だ!
行方不明になったという設定のパンプキン伯爵🎃がこの広いお屋敷のどこかに隠れているのだ。
10月の最後の木曜日、それは開催された。
木曜日、柱時計の21時を知らせる音がなる前に、パンプキン伯爵🎃を見つけたものには、1年分のお菓子とかぼちゃのポタージュがプレゼントされるのだ。
様々なオバケに変身した子供たちは必死になってパンプキン伯爵🎃を探していた。
クローゼットの扉を開けると、でっかいカボチャが置かれていた。
これじゃない!
パンプキン伯爵🎃は全身’カボチャオレンジ’なスーツに深い緑のマント、白い手袋をつけ、頭にはくり抜かれたカボチャを被っている。
ニセモノもたくさんいて、ホンモノかどうかを見分けるのは難しい。
見分ける方法は、合言葉!
「🍬🎃✞👻trick or treat👻✞🎃🍬」
ホンモノならば、お菓子を、ニセモノならばキッチンに連れていかれて、後片付けのお手伝いをさせられてしまうのだ。
ニセモノは服の色が違ったり、手袋をしていなかったり、被っているのがカボチャではなかったりする。
慎重に見極めなければならない!
ニセモノだと思ったら、合言葉を言わずに持っているキャンディを投げつける!
すると、ニセモノは正体を表し、後片付け部隊に参加する。
そうこうしているうちに、ほとんどの者がお片付け部隊となってしまった。
僕とミラだけが、生き残りだ!
僕は黒猫のお化けに変身している。
ミラはサキュバスに変身している。
残すところは、2階の一番奥にある書物庫だけだった。
ミラと僕は顔を見合わせて、書物庫のドアノブに手をかけた。
ギギィという重く軋む扉の音がする。
中を覗いてみると、ぼんやりと明かりが灯っていた。
天井まで届きそうな背の高い本棚が壁一面にびっしりあって、大小様々な本が並べられていた。
真ん中には書斎のデスクがあって、リクライニングチェアがあって、山積みにされた本があった。
デスクの前にはダークブラウンのソファーがあって、真ん中に低いガラスのテーブルがあった。
テーブルの天板のガラスに何かが映っていた。
それは、パンプキン伯爵🎃だった!
ミラと天井を見上げると、はりつけにされてぐったりしているパンプキン伯爵🎃の姿があった。
僕達は驚いて、悲鳴をあげる。
2人とも腰を抜かして床に尻もちをついた。
キッチンにいたお片付け部隊たちが、僕達の悲鳴を聞いてかけつけてきた!
みんなは変わりはてたパンプキン伯爵🎃の姿を見て何が起こったんだ!と慌てふためく。とりあえず警察を呼ぼうと部屋の外へ出ようとしたところ、扉は外から鍵がかけられていて出られなくなっていた。
僕達はみな、この部屋にとじこめられたのだ。
🎃
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