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プロローグ
星の声を聴くことが出来るのは、この星でただ1人の魔女。
星の声は、この星のエネルギーを均衡に保つための道標
この星で生まれた様々なエネルギーは原石をいっそう輝かせる。
エネルギー循環のはじまりは昔、まだ、国という概念がなかった時代、星を司るものは原石の魂だった。
エネルギーを発するのに欠かせない人類の存在。数千年もの間、人々とこの星のエネルギーは循環しながらも増幅していった。
そして、いま、強大なエネルギーは星の声を聴くことができる唯一の存在、魔女によって支配される世界となった。
魔女は原石に選ばれし女性のみ。原石の一部を結晶化した指輪を身につけることができる唯一の存在。
国を治める王たちは、魔女の力を手に入れるべく、あらゆる手段を使うのであった。
シーヴァ・クリスターナ。
原石に選ばれし、現在の魔女であり、ルビノア帝国の手中にあった。
「この国もか。」
平和という言葉は儚い。俺はこの言葉の真の意味を知っている。
当たり前のように訪れるこの平和は誰かの手によって作られているものあって、決して当たり前ではない。
ルビノア帝国の手によって平和が作られていると言っていいだろう。
つまり圧倒的な兵力を持つルビノア帝国に屈し、同盟国となることで今はやっと平和が担保される世の中になってしまったわけだ。
世界は大きく変わろうとしていた。
スバル・アーデンブルク。
アーデンブルクの王…になるはずだった男だ。
アーデンブルクは、ルビノアの属国…つまりは同盟国となっていた。
しかし奴らはやってきた。
それも突然にだ。
聞けば、星の意思だという。
同盟国であれば安全ではなかったのか?
それは、まさに地獄だった。
当たり前だった平和。
それを壊された人々はパニックに陥った。
ルビノア軍はそんな国民を嘲笑いながら、まるで機械のように我が国を焼き払っていったのだ。
自然豊かな我が国は、小さな国であったが、俺にとっては誇らしい国だった。
それを…たった1日足らずでルビノアは焼き払ったのだ。
あの日の事は一生忘れないだろう。
唯一の肉親であった父、アーデンブルク王を、目の前で殺された日…。
平和が目の前で壊された日だった。
強き者によって簡単に覆されてゆく平和。
燃えさかるアーデンブルクを後にしながら、俺はただただ強くなる事を誓った。
アルミス・パラディノア。
パラディノア家の長女で、魔女の継承者候補。幼き頃から、魔女の力を継承するための教育が施されていた。
魔女は【星の声】を聴くことができる唯一無二の存在。
魔女の力は子を宿すと、徐々に弱まってしまうため、本来、一生婚姻関係を結んではならない。
それでも、寿命が尽きる前には次の継承者を決めねばならなかった。
関わる人は限られている。恋愛すらできない。兄や妹は自由なのに。
「アルミス!!アルミスはどこ?」
教育係のメリーサが先程から探している。
逃げるように、衛兵たちに紛れ、西の森へと入る。
脇道を抜けると、水の音がする方へと歩みを進めた。
ゴゴオオオォォォ
小さい時の記憶はほとんどない。ハッキリと覚えてるのは、業火に包まれ逃げ惑う人々の姿。
僕の村はルビノア帝国を敵視する何者かに襲われた。
孤児となった僕はシーヴァに拾われた。
ペンダントにはジャン・ ケインマートと刻まれていた。
親衛隊隊長の元、【うるは流】剣術を学んだ。厳しい訓練にも耐え、持てる時間の全てをそれに費やした。
母のように接してくれたシーヴァへためでもあった。
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