出会い

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18歳になる頃、僕は1つの部隊を任されるまでに成長した。 ルビノア帝国への敵対が強まる中、大規模な親衛隊強化の為に各地から猛者たちが集められる運びとなった。 入隊希望者には実力テストが行われるらしい。 偵察隊からの知らせを受けたシーヴァは親衛隊を大広間に集めた。 シーヴァ「ジャン」 ジャン「はい!」 場の空気が張り詰めていく シーヴァ「西の境界線に何やら不審な者が現れたらしい、悟られないよう単独行動にて調査してきなさい」 ジャン「はっ、仰せのままに」 こうして僕は、西の森へと足を運んだ。 ゴゴオオオォォォ 視界が開けると、そこには大きな滝が。 滝の中腹には虹がかかっていた。 このような素晴らしい世界が、まだまだ外にはたくさんあるのだろうと、しばらく水の流れを眺めていた。 滝の轟音で、私はそれが背後に近づいていることに気づけずにいた。 ベアリムだ!気づいた時にはすでに距離を詰められていて、背後は滝、逃げ場がなかった。この距離では弓も射ることができない。 私は死を覚悟した。 見覚えのある左肩のエンブレム あれはベアリムか。 どういう事だ何故ベアリムが、こんな所に。 全てが謎に包まれた暗殺集団。 高い戦闘能力をもち、その力は親衛隊クラスと言われている。 ベアリムと距離を置きながら追跡していると、大きな滝の前で佇む人の姿があった。 気づいてないか。 ベアリムはジリジリと距離を縮めていく。 ようやく異変に気づき、振り向いた時にはベアリムは目と鼻の先まで寄っていた。 「弓を構えろ!」 僕の声にベアリム達は振り返り一瞬硬直する。 その隙を狙って勢いよく斬り掛かる。 一人、また一人、確実に迅速に電光石火の如く。 「木の上を狙え!」 僕が指をさす場所目掛け、一寸の狂いもなく弓が飛んでいく。 「全部片付いたな」 額の汗を拭いながら彼女に近づいていく。 「あっ、ありがとう」 歳は僕と変わらない、ただこの辺りでは見かけない髪の色。 「珍しい髪の色をしているね」 聞きたいことが山ほどあったが、何故か金色の髪が気になった。 「アルミス・パラデノア、ハーフエルフなの、アルって呼んでね」 「僕はジャン ・ケインマート、ジャンでいいよアル」 「ところでアル、どうしてこんな所に?」 アルは、ここに至るまでの経緯を話してくれた。 自分が魔女候補だということ。 窮屈な生活が嫌で逃げ出してきたこと。 外にはまだまだ知らない世界があるということ。 「ジャンは強いんだね」 彼女は唐突に切り出した。 「いや、アルも見事な弓さばきだったよ」 「ジャンは軍の人?」 「うん、ルビノア帝国の親衛隊なんだ。」 アルは興味津々で親衛隊の話を聴いていた。 「私でもなれるかな」 確かに弓の腕前は一流だ、しかしそれだけで入隊できるほど甘くはない。 「難しいだろうね、何故入りたいと思ったの?」 「何も知らない世界で、何も知らない私が、何かを知るには、軍に入るのがいいと思ったから……ってダメだよねこんな理由じゃ」 「アル、何も知らない事は悪いことじゃないよ、知ろうとして先に進むために軍に入り、知った先で理由を考えればいいんじゃないかな。」 この後、僕達は別れた。 数日後、軍の入隊試験にアルの姿があった。 帰城した僕は大広間へと向かった。 シーヴァの姿が見当たらないところを見るとまた篭ってしまったのか。 最近は部屋に篭もる日が多くなっていた。 コンコン 「ベアリムと思われる者が数名いました。 不審な動きをしていたので、その場で討伐しておきました」 シーヴァ「ジャン、ありがとう、ご苦労さま」 新人に、とんでもない奴がいる。 親衛隊はこの話で持ち切りだった。 槍の使い手でスバルと言うらしい。 アルは入隊出来たのだろうか? 入隊希望者の中にアルの姿があった。 僕は別任務があったため、見届けることは出来なかった。
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