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#66『影』
ピコンと電子音が鳴ったタイミングで即座に端末を手に取ったシェイネが、チャット画面を開く。写真に添えられたメッセージには[この前の。お守りにでもどうぞ。]と書かれていた。それを横から覗き見ていたアートラータが話しかける。
「普通にやり取りはするのね?あ、その写真私にもちょうだい。」
「まぁな。前までは色々何が何だか分からなくて、安否を伝えるとかすらも出来なかったけど、今はなんとなく状況は分かるし、余裕もあるから。」
「…そうね。」
「まぁ、ただ一つ複雑だと思うのはうちと、ディスカリータとトリヘックスの関係かな。私からあの二つは考えにそぐわない感じだろうけど、ディスカリータに関しては自治体公認組織な訳だし。」
「裏があるのよ。ほら、建前と本音的な。」
「…なるほど?」
「まぁそこの情報収集は他に任せればいいんじゃない?私達は自己防衛とこれ以上人を巻き込まないために─あ、写真ありがと。」
「おう。……さてと、私はやることがあるからこれで。じゃぁな。」
「やることって?」
「ん〜?そりゃもう、茂みとかに生えてる植物を取ってくるんだよ。治療薬やらなんやらで使いまくったし、バカンスがてら収集だよ。」
「あぁ、そう?」
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