#88『夜叉と阿修羅と龍』

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シネスティマタ校の異名持ちは、様々な面で大きなアドバンテージを有し、半分以上の異名持ちは大きな企業や組織に加入する。中でも群を抜いて多いのがディスカリータの加入だ。 ─洪ってそうそうある名前じゃないわよ。しかも…今回のメンツ的にディスカリータが関与してる。アイツは…。─ “西部校の夜叉”。サナーレ・ミセリコルディア。学生当時は問題児とされ、停学処分も受けたが実力は確かなものであると認められた。 そんな彼女の学生時代唯一まともに連んでいた人間が、洪零である。 “西部校の阿修羅”の異名を持っていた。彼女は漢民族系の人間であり、容貌もひどく綺麗なものであった。また阿修羅の異名を持つだけの能力を持っている。それを買われた先がディスカリータだったのだ。 「失礼しますよ…!」 そう言い切らないうちに、ミセリコルディアは校長室の扉を開けた。 「……洪。」 「……コレはまずい。」 「は?」 「医務室の先生じゃないですか、コレはコレは。」 「……司令官がどうしているのよ。説明して。諸々。」 「……分かった。分かったから。だから…そのツラで私の胸倉を掴むのやめてくれない…かな?」 洪は、両手をあげて降参の意を示す。ミセリコルディアはそこで、頭を冷やして手をぱっと離した。 その後、洪は校長ことフォルフの治療をせっせと行うミセリコルディアに対し、下手に出て説明を始めた。
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