1人が本棚に入れています
本棚に追加
「えーっと、まずこの子達はチャーリー達が拉致されたときとその救出に携わった人なんだよね?」
「えぇ。むしろ恩人とも言えるかもしれません。ディスカリータの方に関しては。淡い記憶の中に残っているんです。私はあの頃、謎のテディベアによって、自我を失いつつあったんです。なので記憶は曖昧ですが…洪と名乗った銀髪で…碧眼の方には見覚えがありまして。悪い人ではないのは確かです。その隣にいた黒髪のお兄さんも。」
「……そっか。じゃぁとりあえずこの子達は、あの時の一件に関わってたわけで…。ディスカリータの人は二人いたってことだよね。」
「…そうですね。それと軍部の司令官が。」
「し…は?司令官?!」
カラニが目を見開いて、大声で尋ねる。オルティスの静かにしろという仕草に咄嗟に口を噤むが、身振り手振りをしながら口をぱくぱくさせる。そしてやっとのことで言葉を絞り出す。
「……なんで?」
「事情聴取だとは言っていました。…大方、ディスカリータの方から情報を得て…この子達を選出した…というところでしょう。」
「…でも…ここまでの状態になるのって、異常事態じゃない?何かやってるでしょ。」
「錯乱薬です。」
「…全然良心的じゃない取り調べだね。司令官、そこそこネジぶっ飛んだ人だね?」
「未然に防ぐことが出来なかったことが悔やまれます。」
「いや…仕方ないんじゃないかな。それにあっちがその〜、そこそこ酷い手段をとったならどうにでも出来るでしょ?ていうか、サナーレさんいないの?」
「ディスカリータの方の名前を出したら、切羽詰まった様子で出て行かれましたよ。」
「……え?ディスカリータに知り合いいるのアノ人。」
「…おそらく同世代の異名持ちでしょう。」
「異名持ちなのアノ人!?」
「あぁ…そうでした。見たこと無かったですよね。サナーレさん、私たちと一緒に拉致された時に、ディスカリータの施設の鉄扉を蹴って強引に脱出しましたよ?」
「……あたかも当然のように。」
「それで言ったらあなたの能力のパワーも規格外でしょうに。」
「いや私は能力加味で凄いだけで…サナーレさんの場合は素体のポテンシャルが─。」
「龍の異名持ちが何を言っているんだか。」
「チャーリーもでしょ。なんかやたらめったらに難しい言葉使っちゃって。」
「であれば…“能ある鷹は爪を隠す龍”とか?」
「鷹なんだか龍なんだかはっきりしてほしいなぁ…。」
「じゃぁ“韜晦の龍”で結構。」
「あー…うん…まぁ…。」
最初のコメントを投稿しよう!