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アルテミシアはケラケラと笑って揶揄うが、その一挙一動がミセリコルディアの怒りの感情を激化させる。激化した怒りの気配を察知した洪は、やつれた顔をくしゃっとしかめる。洪はコルボーに対して視線を向けるが、コルボーは無言で顔を背ける。
「ユイト君……。」
「俺、ムリ。」
「えぇ…。」
ミセリコルディアは、一度深呼吸をするとアルテミシアに向き直る。
「錯乱薬を使ったのは貴女ですか。」
「どうしてそう思う?ディスカリータの連中が使った可能性が──。」
「喧嘩別れしようが何だろうが、私にはこの人たちが錯乱薬を使うだけの人格や行動理念を持っているとは思えないのですが?」
「…ほう?それが正当な評価なのか過大なのか…。」
「少なくともディスカリータは人道的ですよ?私はディスカリータのやり方を否定している訳ではない。私が今この場で否定しているのは、貴女のやり方です。人格を否定するほどの判断材料はないです。」
「…強いねぇ、シネスティマタの校医さんは。」
数回アルテミシアが手を叩く。
居心地悪そうにしていた洪がミセリコルディアのその言葉に呆気に取られていた。
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