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「あっはは……月ですら眩しい。」
「なら堕ちればいい。一緒に堕ちよう。堕ちた方が楽。ね?」
シャッテンが振り向いた先には、見覚えのある人物がいた。
「ファーデン…さん。」
「あの時は見捨ててごめん。でも戻った。許して。」
「…そんなこと言われても。」
「今度はずっとそばにいる。助ける。楽になろう。悩みなんて全部忘れちゃえばいい。」
「本当に助けてくれる?」
「うん。」
ファーデンの顔は相変わらず無愛想だった。しかし目の前で不満や怒りや正義感を匂わせる人物に比べたら幾分か楽であった。
─…こんな時、レジーナさんならどうするんだろう。逃げるかな、縋るかな…。─
先日握ってくれた手の温もりを思い出そうとするが、うまくいかない。
奪うくらいなら分け合う。
そんな考えがよぎったが、そんなの通じる訳がないと顔を歪ませる。
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