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─世界は冷たいんだ。─
「震えてる。」
ファーデンがシャッテンの手を握る。
─無愛想なくせに…暖かい。─
「…大丈夫。大丈夫。」
「本当に大丈夫…?」
「…洪さん、アレまずく─。」
「しー。」
ファーデンが指を唇にあてた。
「彼女が選んだのはこっちだ。ディスカリータも宗教も引っ込め。」
マルクがその言葉に顔を歪めた。
「朕のおかげでもあるだろう?と言うかそもそも──いや…うん。負けだ。朕の負けだよ。さ、お二人さん、ここは大人しく退こうじゃかいか?」
「どうする、洪さん。」
「どうするって言っても、ディスカリータ的にも…ユイトくん的にもこれはまずいでしょ。一般民が巻き込まれてる…ましてや…。」
洪は言葉を呑んだ。流石に「バイオテロの容疑者が目の前にいるとなると」と付け加えられなかった。
ファーデンはニコリと笑って「じゃぁ、さようなら」と言葉を残し─。
「またどこかで。」
─その場を去った。
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