#89『暗雲、崇拝すべきは幻影』

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マルクは肩をすくめて少々不満そうな顔を見せる。 「してやられたね。」 しかし洪やコルボーは青白い顔をしてマルクに構うことなく、連絡をしようとする。 「君達は救いを求めてる人から光を奪うのかい?慈善団体が聞いて呆れるね。信じたいものを信じればいいじゃないか。」 「…洪さん。構うだけ無駄だよあいつは。」 「……分かってるよ。」 「ちょっと待って。ねぇ、君。」 「…なんです?」 「……君は一体何者かな。」 「うーん。さぁ。これと言って名乗れることをやってる訳じゃないから。宗教関連の人間としか言えないよ。…警察みたいなことを言うんだね?」 マルクは口角を上げた。しかし依然として目を細める様子がなくぱっちりと開いていた。見開いた目─蛍光色のような黄色い瞳。歪められた口。その表情は狂気的としか表現出来なかった─。
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