1人が本棚に入れています
本棚に追加
シャッテンは虚な目で隣にいるファーデンをじっと見つめた。
「私を好きなようにしておいて、今更なんで戻って来たんですか。」
「良心が痛んだ。」
「よく言いますよ。操っておいて。」
「着いてきたのに。」
「一番マシだから。」
「……そ。」
なんでマシなの?とファーデンは口を開きかけたがこの野暮だと感じ口を噤む。
「あれ、なになに、久しぶり〜。」
「ひっ。」
「あんまりうまくいかなくて、ちょっとしょんぼり?大丈夫だよ。順調だよこれでも。うまく行くよ。」
ドゥンケルハイトが楽しそうにそう言った。正直、シャッテンにはドゥンケルハイトの言うことが理解しきれていなかった。
一体何が順調で何が上手くいっていないんだろうか。シャッテンに当初与えられた「六人の手綱をうまく握れ」ということは果たせていない。
─多分、手綱を握れてもシェイネさんだけでは。─
「うまくいくってなんのことですか。」
「えぇ〜、そんなの言わないよ。レーラちゃんはそのままでいいよ。」
ぽんぽんと肩を叩かれる。そのままドゥンケルハイトは上機嫌な様子でその場を去った。ぼーっと棒立ちになっているシャッテンを見たファーデンが顔を覗き込む。
「元気いつもの数倍消え失せてる。」
「…そうですか。」
今更取り繕うこともバカらしくなり、シャッテンは適当に流した。
最初のコメントを投稿しよう!