自他侵食 Third Period

#89『暗雲、崇拝すべきは幻影』

「…ありがとう。」
「……家族を貶されるのは私も嫌だから。」
「…。」
「元仲間と連絡取れるの？」
「えぇ…。」
「…少しくらい頼ってもいいんじゃないかな。恩は売ってるでしょ。少しくらい。」

ラズルはアーテルに向き直ると寂しそうな顔をする。

「…望み薄でも、やるしかない。私の妹も…助けて欲しい─。」