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『エファセ。エファセ。』
『あ……?』
『これ飲んで。口開けて。』
『何これ。』
『…治癒薬。』
『…敵なのに。』
『トリヘックスに魂まで売った覚えはないわ。居場所が単にここにしかないだけよ。』
『……ごめん。私が…私が…。』
『…“お兄様の件”も、“ジルやホックやルナのご両親が亡くなった件”も、今じゃ過ぎたことよ。恨んでもいい。結局誰かに恨まれるのが世の常なのよ。』
『…ごめんなさい。私のせい。』
『…そう言うくらいなら、一生恨んでくれる方がいいわ。私は、貴女の存在を─。』
エファセは過去のことを思い出す。あまりいい記憶ではない。
トリヘックスに捕らえられた。その中で何をされたかの記憶は曖昧だった。
─洗脳された。多分感触的に薬でも使われたんだと思う。いいようにされて…まだ自我がめちゃくちゃだったのが助かった。アイデンティティのかけらもなかった。だから、助けてもらえた。あの半分仮面─。トリヘックスは…今の時点で余計な犠牲は避けたい気持ちが強いはず。─
「あの。今─いいですか。」
「あれ?どうしたの?珍しいね。」
「…何か知らないかなって思って。」
「何か?」
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