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それから数時間経った頃、カフェの閉店後の片付けを終えたマッティアはカフェの奥で目元を隠す狐の面を外すと大きなため息をついた。
「…木が乾燥してますね。…念の為、替えを用意しましょう。そしてこれをケアしなくては…。」
「マスター。」
「おや、キラーか。どうしたのかね?」
「いいや特に今は何も。強いて言うならそいつの加減、どうかなって気になりましてね。」
「あぁ…これかね。」
額に手を触れかけたところで思い止まったのか、手をスッと下ろしたマッティアは手を組んだり、それを解いて指先でトントンとつついたりと落ち着かない様子を見せた。
「いや、停滞しているんだ。体調にもさほど影響はないし、問題はないのだが…。私が気にしているのはそっちじゃなくてだね…。先程電話で「そっちに行くから」と言われてしまってね。」
「え?誰から?」
「サング…。」
「えぇ…もしかして六人がここにいるって目星でも?」
「ついてるだろうね…。困ったものだよ。どう説明したものか。」
「あれ?六人がここにいる理由知らないんです?」
「そうだね。彼女はそれこそちょうど九だか十年前にここを抜けたからね。話しようもなかったと言うべきかな。」
「はぁ…。で、どうするんですか?自分らのこと知ってる相手ですよ。ごまかしようもないじゃないですか。」
「そこは正直に話すつもりだよ。彼女とて守秘的だし、賢いから下手にあれこれ突くような子じゃない。話せば理解は得られると思っているよ。」
「なら、いいんですけどね…。」
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