第八章・私の全部をあなたにあげます。きっとこの為に私はあなたの親になったのでしょう。

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「貴様、ブレイラに何をした!!!!」  ハウストの膨大な魔力が放たれました。  しかし先代魔王も同時に魔力を発動し、攻撃を弾き返してしまう。 「ハハッ、見てのとおり可愛がってやっているんじゃないか」 「はっ、あ……んっ」  後孔を犯していた指が引き抜かれてビクビクと体が反応してしまう。  背後から腕を引っ張られ、うつ伏せになっていた体が強引に起こされました。  そして背後から腰を抱かれ、ふらつく足で無理やり立たされる。  先代魔王は私の顎を掴み、わざと顔がハウストに見えるように固定しました。屈辱と怒りを煽る趣味の悪さに嫌悪がこみあげます。 「ハウスト……」 「待ってろ、直ぐに終わらせる」  ハウストは闘気を立ち昇らせながらも私を見て優しく目を細めます。  それだけで少しだけ体が楽になったような気がして、私も頷いて答えました。  しかし、そんな私たちを嘲笑う者がいる。 「涙ぐましいじゃないか、ますます引き裂きたくなるというものだ。久しぶりだなあ、ハウスト」 「ブレイラを離せっ」 「久しぶりにあった父に挨拶も無しとは情けない。その生意気な態度は十年前から変わらないようだな」 「貴様のような男を父と思ったことはない!!」 「酷いことを言うじゃないか。まあいい、私も叛逆した貴様を殺してやりたいくらいだ」 「それは俺のセリフだ! 今度は封印だけでは済まさん!!」  ハウストは大剣を出現させて先代魔王に切りかかります。  それに合わせてジェノキスも動き、連携して攻撃を仕掛けました。  しかしそれでも先代魔王に届かない。 「フハハハハハッ! この世界で唯一神に近づいた私に、お前たち如きが勝てるわけがない!! そこで世界が破滅するのを見ているがいい!!」  ドンッ!! 先代魔王の魔力が放たれました。  その威力だけでハウストとジェノキスの攻撃を跳ね返します。 「クソッ!」 「うわっ!!」  二人の体が壁に叩きつけられ、更に放たれた第二波によって無防備のまま攻撃を受けてしまう。 「ハウスト! ジェノキス!」  私はふらつきながらも二人の元へ駆け寄ろうとしましたが、それが許されることはありませんでした。 「他人の心配をするとは余裕だな」 「やめっ、うっ」  先代魔王はひどく楽しげに言うと背後から私の耳に顔を寄せてくる。  顔を背けても顎を掴まれて引き戻され、頬から耳にかけてべっとりと舐められました。 「ひッ、うぅ……」  あまりの不快感に悪寒が走りました。  身じろいで逃げようとしても脱力した体ではままならず、ハウストの目の前でされるがままです。  唇を噛んで背筋を震わせた私に先代魔王はせせら笑いました。 「その嫌がる顔が快楽に悶えるのを見るのが最高の悦楽だ。せいぜい私を楽しませてくれ」  私の耳元で愉しげに囁き、ハウストを挑発します。 「ハウスト、お前もそうは思わないか? なかなかいい声で鳴いてくれる」 「貴様だけは絶対に許さん……っ!」 「私が私のものをどう扱おうと貴様には関係あるまい。この人間はもうすぐ完璧な神の器となり、身も心も私のものになるのだからな」 「神の器だと? どういう意味だ!」  先代魔王の言葉にハウストが険しい顔をします。 「この人間は神の力を入れる器。もうすぐこの人間の中で力の融合が終わる。融合が終われば心を失くし、私に神の力を未来永劫供給し続けるだけの人形となるのだよ」 「そんな事が許されていいものか!!」  激昂したハウストが先代魔王に向かっていく。  先代魔王もすかさず応戦したが、それを読んでいたハウストが隙をついて反撃しました。  ハウストの大剣と先代魔王の魔法が衝突し、凄まじい衝撃波が広がります。  しかし互角かと思われたその時、「うぅっ!」私の体が熱くなりました。  それと同時に先代魔王が更なる魔力を発動してハウストが弾かれて床に叩きつけられる。
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