蒼い夜空に舞え

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 妻に案内をされて車は中央病院に入った。降り立つとすぐに私たちはトランクの傘を大量に抱えた。 「あなた、ICUはどこ?」 「分からないよ」 「じゃあ、ここでいいから」  本病棟の足元に広がる駐車場の真ん中に陣取ると、向こうから女性が3人同じように傘を持って駆け寄ってくる。ご近所の奥さんたちだという。妻がラジカセをセットする。この間倉田さんがかけていた音楽だ。花火『不死鳥』のバックに流れる『フェニックス』という曲である。  傘にはみんな電飾がついていた。いつの間に妻はこんなものを用意していたのか。  妻たちは感極まってみんな必死で傘を回していた。そこに倉田さんが明るく踊る姿が重なる。私は無我夢中で傘花火を打ち上げた。  青や黄色や桃色の光の玉がどんどんと広がった。全員で合わせた傘の花が高く高く舞い上がっていくことを願った。そして全員で同じことを叫んだ。    アイト君、死ぬなよ。頑張れ。 (了)
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