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しかし、その後、とんでもない事実が発覚した。
男がばらまいた大金。
それは撮影用の小道具で、非常によくできたニセ札だったのだ。
小道具係がうっかり道端に落としてしまったと告白したことでそれが明るみになった。
そうとは知らず、大量のニセ札は様々な場所ですでに使われてしまっていた。
そしてそれは全国に流通し多くの店がそれにより大量の損失を被った。
警察はニセ札の回収に追われ、銀行は人々が持ち寄る金が本物かどうか見定める手間が増えることとなった。
さらには全国ニュースでもそれは取り上げられ、人々は恐慌をきたした。
自分の金はニセ札か。
お釣りでもらったお金は本物か。
男が拾った大金は数千万円相当だったが、事実は捻じ曲げられ、五千円札や千円札、小銭に至るすべてのものにニセものが混じっていると報道された。
それは合計して数億円相当にものぼるとされ、ますます混乱は拡大していった。
その諸悪の根源、大金を拾った男は後日逮捕された。
「ネコババせずに、すぐに警察に届けるべきでしたね」
連行されながらも男は記者に質問に答える。
「まさしくその通りですね。大金を拾ったらネコババなんてしないほうがいい。私のようになってしまうから」
この自身の過ちを、テレビの前に座る多くの人々に教訓にしてほしいと願う男。
ちょっと魔がさしただけで、彼は根っからの善良な市民なのだ。
しかし、人々はテレビに映るその男の顔を見てこう思った。
「なんて悪そうな顔つきなのかしら」と。
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