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舞踏会の日、マリアンヌはこの日のために選んだ金色のドレスと青い髪飾りを身につけた。王子の髪と瞳の色に合わせた色だ。
公爵家の人々にとっては王子が腹を立てて出て行った日が最後なものだから、今日王子が迎えにくるのかと皆ハラハラしていたが、もちろん王子はマリアンヌを迎えに来た。
王子は彼女の姿を見ると嬉しそうに青い目を細め、王子らしい口調で丁寧な挨拶をした。
「この前は、ひどい言い方をして申し訳ありませんでした」
「いいえ、私の方こそ。これまでずっと一緒に出席もせず、本当に申し訳ありませんでした。今日は迎えに来ていただいて、とてもうれしいです」
「こちらこそ、そのドレスと髪飾りを選んでいただいて光栄です。とてもよく似合っている。一曲目は、私と踊っていただけますか?」
「もちろんです。ですが、あまりダンスは上手くなくて。きっとご迷惑をおかけすると思いますが……」
「でしたら、今日は私とだけ踊ってください。私にならいくら迷惑をかけても構いません」
「まあ、そんな」
「よければ、これからもダンスの練習をいたしましょうか」
王子はそう言って金色の猫と同じようにニッと笑ったので、毎日練習をしてくれた人が誰だったのか、マリアンヌにはもうすっかりわかってしまった。
「ぜひ、お願いいたしますわ」
目に涙を浮かべながら、マリアンヌは笑って返事をする。
「庭園でもよろしいかしら?」
王子は少し考えてからスッと顔を近づけると、マリアンヌにだけ聞こえるように囁いた。
「玄関から来た方が良くないか?」
もう完全にあの猫と同じ話し方をしている。マリアンヌは目元の涙を拭いながら囁き返した。
「猫の姿も見たいので」
「なんで??」
マリアンヌは笑いながら、もっとたくさん話がしたいとそう言った。
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