4人が本棚に入れています
本棚に追加
後ろから不意討ちされないように、博明と由美が壁沿いに辺りを探し出したとき、バスの方に明かりが見えた。
すると、すぐに"ボンッ"という爆発音が聞こえ、炎がバスを覆った。
おかっぺが騒ぐ声とリンちゃんの悲鳴が聞こえ、
「どうしよう・・・、どうしよう」
と、由美が戸惑っている間にもう一度大きい爆発音がして、さらに炎が大きくなった。
博明にもその熱風が届いた。オレンジに揺らめく炎。
「なんで降りてこないんだ!」
博明は中にいるはずのおかっぺたちが降りてこないのを、苛立ちながら見つめた。それしかできることはなかった。
「あ!あそこに裕也がいる!」
由美が指さした先を博明も見た。
炎の明かりに照らされて、バスの前方付近に倒れた裕也の姿が見えたが、動いていないのがすぐにわかった。炎が近すぎる。すぐに逃げないと危ないはずなのにその場から動かない・・・。
博明と由美は裕也の方に向かって走った。その間も2人で離れないように博明は注意した。
「裕也!――裕也!」
大きい声で何度か呼び掛けたが反応はない。首から血を流していて、明らかに殺害されている。
「だめだ。死んでる」
「そんな・・・」
由美は裕也に近づき離れようとしなかった。そしてその間もバスの中からリンちゃんの悲鳴が聞こえていた・・・。
「危ないよ、また爆発するかも知れない。――離れよう!」
確かに炎の熱を感じていた。博明は由美の手を取り、裕也から引き剥がすようにバスから離れた。
最初のコメントを投稿しよう!