入口

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 後ろから不意討ちされないように、博明と由美が壁沿いに辺りを探し出したとき、バスの方に明かりが見えた。  すると、すぐに"ボンッ"という爆発音が聞こえ、炎がバスを覆った。  おかっぺが騒ぐ声とリンちゃんの悲鳴が聞こえ、 「どうしよう・・・、どうしよう」 と、由美が戸惑っている間にもう一度大きい爆発音がして、さらに炎が大きくなった。  博明にもその熱風が届いた。オレンジに揺らめく炎。 「なんで降りてこないんだ!」 博明は中にいるはずのおかっぺたちが降りてこないのを、苛立ちながら見つめた。それしかできることはなかった。 「あ!あそこに裕也がいる!」 由美が指さした先を博明も見た。  炎の明かりに照らされて、バスの前方付近に倒れた裕也の姿が見えたが、動いていないのがすぐにわかった。炎が近すぎる。すぐに逃げないと危ないはずなのにその場から動かない・・・。 博明と由美は裕也の方に向かって走った。その間も2人で離れないように博明は注意した。 「裕也!――裕也!」 大きい声で何度か呼び掛けたが反応はない。首から血を流していて、明らかに殺害されている。 「だめだ。死んでる」 「そんな・・・」 由美は裕也に近づき離れようとしなかった。そしてその間もバスの中からリンちゃんの悲鳴が聞こえていた・・・。 「危ないよ、また爆発するかも知れない。――離れよう!」 確かに炎の熱を感じていた。博明は由美の手を取り、裕也から引き剥がすようにバスから離れた。
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