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「由美、俺たち二人生き残れて良かったね」
そう言って博明は由美を抱きしめようとした。
「なにすんだよ」
由美は博明の手を払いのけた。
「えっ?」
その反応は博明にとって不意打ちだった。由美は侮蔑を含んだ表情を博明に向け、溜まった鬱憤を吐き出した。
「お前キモいんだよ。だいたい裕也の友達だから相手してやってたけど、いつも私のことジロジロ見てんじゃねぇよ。お前なんかと関わりたくないんだよ、バーカ。お前が殺されればよかったのに、なんで裕也が殺されなきゃいけないのよ。
さっき、"お前たちのお陰で俺は変われたよ"とか言ってたでしょ?そのキモいエピソード、なんでこんな時に喋るの?頭おかしいでしょ。ほんと、いっつも考えが浅い。青木のこと嫌いだから犯人だって決めつけたり、裕也がいなくなったら私に近づいてきたり・・・」
「そっ、そんなことないよ。裕也がいなくなったからとかじゃなくて、ただ由美のことを心配して・・・」
由美の顔が怒りでさらに歪み、睨みつける目に力が入る。
「うるっさいんだよ!」
由美は博明の腹を押すように蹴った。
靴の裏で蹴られた博明は、そこに付いたガラス片が腹に当たりチクチクとした痛みを感じるとともに、バランスを崩してマミやんの血が広がった所に尻もちをついた。痛む腹をおさえようとすると、手にマミやんの血がべったりとついていた。
「ひぃ!」
博明は間抜けな変な声を出した。
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