これから

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「大丈夫ですか?他に生存者はいますか?」 レスキュー隊員の第一声はそれだった。まだ事故が起きたとしか気付いていない。ここは殺人事件の現場なのに。  その後、警察の調査が始まった。生存者の由美と博明は事情聴取を受け、持ち物検査を受けた。  博明が持っていたナイフは証拠品として押収されたが、なんの血もついていなかったので疑われることはなかった。  後日のニュースや警察から聞いた話だ。  マミやんの衣服や靴に殺された人たちのそれぞれの血が付着していたことやナイフの購入履歴などから犯人はマミやんということで、生存者の博明たちが疑われることはなかった。  運転者はバスの衝突だけでなく首をナイフで刺されて死亡していた。この運転手と南さんを殺害したとき、マミやんは手にビニール袋をつけ、返り血が服につかないようにしていたらしい。  調査では、衝突より先に運転手が殺害され、運転手を失ったバスが取り壊し予定の古い駐車場ビルに突っ込んだ、とされている。ハンドルにマミやんの指紋が残っていたことから、そのビルに突っ込むようにマミやんが操作したのだと。  青木は瓦礫(がれき)の下敷きになっており、鎌田はあのドアの向こうにある階段の途中で失血死しているのが発見された。あとは大筋で由美の推理の通りだった。
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