衝突

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「外に行った奴ら、戻ってこないな」 巻田の周りのガラスをある程度取り終えて、博明が巻田の足や腕のガラスを少しずつ取り始めたとき、手の空いた裕也が言った。 「そうだな、外の様子、教えてくれればいいのに」 博明はあまり考えなしに答えたが、裕也は心配もしていた。 「もしかして、天井が崩れて全員潰されたんじゃないか?さっき崩れる音がしただろ?」  何度か瓦礫が崩れるような音がしていて、その度にバスの上に落ちてこないかとヒヤヒヤしていた。このビルは相当古いようだ。 「あぁ確かに、巻き込まれたかはわからないけど、なんか声も聞こえたな」 その声は、悲鳴といえば悲鳴だったかもしれない。 「オレ、見に行ってくるよ。こっちは頼んだ」 「あ、あぁ」 テンポよく動ける裕也をすごいと思う。博明は目の前のガラスのことだけで手一杯だ。 「裕也、ありがとう」 巻田が痛そうな口を動かして、出ていこうとする裕也にお礼を言った。 「様子がわかったら戻ってくるよ」 そう言って裕也は後部の非常口から外に出ていった。
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