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三十路も半ばを越えた一人の女が、熱心にスマートフォンの画面を操作している。彼女の目は血眼だ。そうして見つめているスマートフォンの画面、そこにはたくさんの男の顔写真があった。
「これもダメ。コイツもオッサンだし……」
女は画面に向かってブツブツと言いながら、男を物色していた。
この女、仕事の時間以外の、全ての時間をこのスマートフォンの画面に映っているマッチングアプリに費やしていた。女のプロフィール画面には、名前のところに『エンジェル』と書かれている。それが女の、このアプリでの名前のようだ。
そしてその名前の横には女の顔写真が載っていた。それは流行りのフィルターを使い、精一杯の若作りと加工を施した、痛々しいものだった。しかし女はそれが『痛々しい行為』であることを自覚していない。
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