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「すぐにスタッフが向かいますので、しばらくお待ちください!」
「早く、早くしてくれ……!」
男の震える声が響く。
男の体温が少しずつ奪われていく。流れていく血液と共に、自分の体温も奪われていく感覚に、男は恐怖した。
自分から引き剥がしても、引き剥がしても、この女は何度でも襲ってくる。男は何故自分がこんな目に遭わなければならないのか分からなかった。
事実を口にしただけだ。自分は悪くない。こんなこと、ただの逆恨みだ……。
男はここに来ても尚、自らを正当化させていた。
「許さないから……。死ねばいんだ……」
男を刺し続ける女の口から吐き出されるのは呪いの言葉だった。その声は男の耳には届いていない。それでも女は呪詛を吐き出すことを止めなかった。
初めて会った男に、ここまで言われるいわれはない。
男を漁っている自分の何が悪い?
つがいを求めて、何が悪い?
男がいないと生きていけない、私をそんな人間にしたのも、私と遊んできた男たちじゃないの?
そうよ、私は悪くない。
悪いのは全部、ぜーんぶ、男。
男が滅びない限り、私の世界に平和は訪れない。
「だから、お前を許さない……。殺す……」
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