狂乱の果てに

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「殺す! 殺す! 死ね! 殺す! 死ね!」  純粋な殺意をぶつけられた男はもう、言葉を発することが出来ない。完全に女に対して(おび)えていた。  女は警察が来ても暴れ続けていた。二人の警官も男で、女にとっては自分を取り押さえている三人の店員と目の前の警官、全てが男という苦痛の空間になってしまっていた。  女がここまで男と言う生き物に殺意があるとは思っていない警官たちは、女から事情を聞こうとした。  しかし女の口から出る言葉は、 「男なんてみんな、死ね! お前たちのせいで、人生台無しだ!」 「私のせいじゃない! 悪いのは男だ!」  そんな言葉が繰り返されている。さすがの警察もその様子が普通ではないことが分かり、すぐに応援を呼んだ。  そうして何人もの警察官に取り囲まれて、女はもう自分が何を口走っているのか分からない。ただ分かることは、目の前に何人もの自分を壊した『男』と言う生き物がいると言うことだけだった。  警察は意味不明な言動を繰り返すこの女を傷害の現行犯で逮捕した。それからすぐに精神鑑定を行うために警察病院へと移送することにした。  女の両手に手錠がかけられる。その冷たく重い感触に女は一瞬身体を震わせたが、自分に手錠をかけた警察官を恨みがましく(にら)()けた。
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