一章 静寂

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人生はうまいこと出来ている。 天気予報は有り難いことに外れ、ずぶ濡れの餌食は免れた。 玄関のドアを引く力も無くなっていた。 キッチンの水道を最大限まで開けて、口をつけた。 滝のように喉に入る感覚は神の恵みのように気持ちが良かった。 テレビをつけると、ゴールデンタイム後半に差し掛かっていた。 十時を回ったところだろうか。 眠気も襲ってこない。 仕方なく冷蔵庫から缶ビールを取り出し、一気に呷る。 仕事終わりよりも今の一杯が五臓六腑にしみわたる。 そういえば来週の会議の資料をまとめて置かなければならない。 まぁいいや。 明日にでも回しておこう。 睡魔が襲い、そのまま眠った。
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