一章 静寂

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仰向けになった母をまじまじと見つめる。 これで罪が重なる。 逮捕されれば無期懲役以上は免れないだろう。 しかし目的は果たされた。 会社からも何よりも憎き母からも解放されたかった。 「母さん 父さんのように苦しんでいる気分はどう?」 返事はない。 目をぱっちりと開け、苦渋の表情を浮かべる母の姿を見て愉快だった。 後悔なんて無い。 受話器に手をかける。 「もしもし 人を殺しました。」 三十分後 俺は逮捕された。 町が眠りに包まれている中 パトカーのサイレンが響きわたる。 父の遺棄も全て認めた。 翌日俺が指示した場所を掘り起こすと、腐敗した父が見つかったらしい。 そして 町を震撼させた事件は幕を閉じた。
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