雑草ヒーローズ!

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 三つ目は、失敗した時恐らく彼等の怒りを買って地球は滅ぶことになるだろうということである。 『ひとまず、我が国の催眠術師に相談してみましょう。話はそれからです』  とりあえず、インドのトップの言うことを皆が信じることにした。催眠術師は話を聴いたものの、残念そうな顔で首を振ることになる。 『私の発明した催眠術は、確かに異星人にも効果があるでしょう。しかし、それだけの術をかけるのには五分という長い時間がかかります。五分間もの間、彼らに黙って私の術を見ていて貰うことが難しいです。一人でも催眠術を見ていない者がいれば、他の者達の異変に気づいて怒り、地球を攻撃してくる可能性が高いでしょう』 『では、どうすればいいのだ?』 『催眠術を見てくれるように、仕向けるしかありません』  その結果、白羽の矢が立ったのが俺達五人なのだった。  歌だけは得意だけれど大根役者の俺、星空レント。  ダンスは上手いけれどちっともフリートークができない双子の兄弟、月岡レムと月岡レン。  ギターの天才ながらジャイアンリサイタルもかくやの音痴、日村ジェーン。  そして天才的な役者としての才能がありながら、空気が読めない言動を繰り返して大物監督に嫌われて干された大空フユキ。  落ちこぼれの五人でユニットを組んで、異星人たちの前で歌とダンスを披露する。そして、その歌とダンスの中に催眠術を仕込んで、奴らを楽しませながら撤退させようという魂胆である。 『むりむりむりむりむりむりです!俺達みたいな、地方のテレビ局にもろくに出して貰えない落ちこぼれになんでそんな重大ミッションを!?』  俺は当初、断固として拒否しようとした。できるはずがない。自分はほとんど歌(と簡単なダンス)しかできないポンコツであるし、他に皆も完全に専門職すぎて干された者達ばかりだ。自分達に、恐ろしい宇宙人たちを楽しませることなんて本当にできるのか。  しかし俺達を選んだ芸能事務所の社長は、はっきりとこう言ったのだった。 『お前達は、ある特定の分野ならば地球で一番と言っても過言ではない才能を秘めている。ただ、他のことがちょっと苦手だったせいで埋もれていただけだ。お前達がお互いの苦手を補い合って、一番得意なことを使って戦えば……宇宙人だってきっと魅了することができよう!そうだ、あの恐ろしい侵略者どもを、テレビにくぎ付けにしてやれ!そして、この地球を救ってくれ!!』
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