雑草ヒーローズ!

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雑草ヒーローズ!

 ある日突然、この地球に宇宙人が攻めてきた。――こう書くと、多くの人はきっと思うだろう、“アンタは頭がおかしくなったのか?ラノベでも読みすぎたのか?”と。  ああ、俺達の頭がイカレただけならどれだけ良かったことか。残念ながら、東京タワーがあった場所にどでかい宇宙船ズドーンと佇んでいる以上、否定できる材料はまったくないのだが。あのトゲトゲの紫色の宇宙船が、俺一人の幻覚だったらどれほど救いがあっただろう。非常に残念なことに、アレは俺どころか全世界の人々に見えているから困った話なのである。  今から三年前。  東京の町を押し潰して着陸したその宇宙船は、俺達にとんでもない要求を突き付けてきたのだった。 『我々は、ガレント星からやってきた異星人である!我々は長きにわたる争いで疲弊し、この惑星に娯楽を求めて降り立った者である。この惑星の者達には、是非とも我ら同胞を楽しませて貰いたい』  突然町一つ消しておいて、たくさんの人を一瞬にして殺しておいて何言ってんだコイツら、と思うだろう。そんな侵略者を、どうして客として歓迎しなければいけないのかと。  だが、彼等は俺達の目の前で、自分達に攻撃を仕掛けてきた日本の自衛隊も、アメリカ軍も、中国軍も、イギリス軍もロシア軍もドイツ軍もみんなみんな――謎のレーザー光線のようなもので一瞬にして焼き払い、甚大な被害を齎したのである。  彼等の兵器に、現在の地球の軍隊はまったく太刀打ちできない。全世界が協力して戦争を仕掛けたところで、巨像と蟻の戦いになるだけだ。  宇宙船が降り立った日本も、それ以外の世界の人々も。震えあがって、彼等の機嫌を取るしかなくなったのだった。 『繰り返す。我らはこの星に娯楽を求めてやってきた。もし、貴様らにその意思がないのなら。あるいは我々の退屈を紛らわせるだけの力がないのなら。我らはこの惑星には価値がないものと判断し、全てを焼きつくした上で次の惑星へ旅立つものとする。……生き残りたくば、全力で我らを楽しませるが良い』  地球の全ての人類は。一瞬にして、謎の異星人に生殺与奪の権利を握られたというわけだ。  何が恐ろしいかって俺、星空レントは。今から仲間たちと共に、こいつらの前でダンスを披露しなければならないということである。  まさに、地球の命運を賭けた上で、だ。
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