心奪われた青春

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…恋なんて、幼稚な阿呆のするもんやと思うとった。 あの娘のここがええ、あっちは胸がデカいからええ。 女は女で、画面越しの偶像崇拝に夢中で、同級生なんて知らん顔。 くだらんくだらん。 学生は、勉強さえしとけばええねん。 ぎょうさん勉強して、ええ大学入って、ええ会社入って、見合いで適当に結婚して子供作って親になり、育てて行く。 それが、真っ当な人生。 せやから、恋なんてしとる暇なんてない。 そう思っとったけど、ワシは… 「あかん!寝坊した!!こっち行けば近道やろ!急いで…………!!」 …それは、一瞬やった。 偶然、いつもと違う長屋の小道に入った時やった。 長屋の2階で布団を干してた、お袋とそう歳変わらん感じやのに、綺麗で、美人な…女の人。 勘違いかもしれへんけど、僅かに目が合い、ニコリと笑われた時、ワシの心は、その(ひと)に奪われた… 『頭の良い相原(あいはら)君』は、この瞬間、死んだ。 ワシも、恋に狂う阿呆の、仲間入りや… わし、エエ男になるさかい、責任、取ってや… 名前も知らん、お姉はん…
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