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同じ未知を、君と
私のだと思ってた席に、知らない男の子が座ってた。
アイスチョコレートのグラスを持つ手がぬるくなる。
左肩の通学鞄を掴み直して、ドギマギしながら店内を見回した。
……うん、確かに確保したのはこの二人用テーブルなんだけど。でも男の子があまりに堂々としてるから、自分が間違えてるんじゃないかと思った。
こういうのってアリなの、ここ? そんなルール知らない。
話題の喫茶店だし有紗も行こう、と当然のように私を連れてきた友達をちょっとだけ恨んだ。
もう一度彼を見る。
大きめサイズの、ワンポイントに黒で模様が入った白地のTシャツと薄い青のデニムパンツ、おでこを見せた短めの髪。中身がいっぱいのコーヒーカップを前に、お店の図書コーナーのものらしい本を広げてる。
笑顔なんだとわかる。少し開いた口から綺麗な白い歯がのぞいてて、伏せていてもわかるくらい目がキラキラしてたから。Tシャツから伸びた腕は細めでがっしりし過ぎてなく、本を持つ手は大きい。
ちょっと、かっこいいかも、と思った。
でも今はそうじゃなくて――
行動に困って足踏みするけど、男の子は本から顔を上げない。
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