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「僕の出身背景のことを知っても、怒らないでくれて。おかげで安心できた。受け入れてくれる場所や人はここにもあるんだって」
その言葉に、私の中で願いが疼いた。
受け入れてくれる場所や人。
私にとってのそれが颯太くんだったらいいのに、って。
そう思ったら、当然のように訊いていた。
「また会える?」
もう賭けは終わってる。だからこれは答えがわからない誘いだ。
鼓動が速い。
颯太くんの目は優しい。
「……留学の行き先って自由に決めていいんだよね?」
「うん」
「じゃあ、オーストラリアに来て」
胸が震えた。
一瞬で理解した。
それが、私の欲しかった返事なんだって。
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