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嫉妬はもうたくさん!
「っ……」
床に横たわる私のお腹には、ナイフが刺さっている。
痛い、というよりナイフの周りが熱い……。
「ねぇエリさん、もう二度とぬいぐるみ作らないって約束したら、救急車を呼んであげる」
「え……」
「もちろん、私が刺したってことも秘密にしてくれるなら、だけど」
……恭子の嫉妬には薄々気づいていた。
ひどく歪んでいやらしい笑顔でしれっと恐ろしいことを言うけれど、あなたは作家としての地位は既に確立されてるじゃない。
私は、私にしか作れない物を作って行きたいだけ。
「誰が……そんな約束っ……ん……」
作品が作れなくなるくらいなら、死んだ方がマシだ。
「恭子さ……ん、これで……有名人だね……おめでと……」
承認欲求オバケの恭子への精いっぱいの皮肉だ。どうせ私はここで死ぬだろう。
「ふ、ふざけないでよ!」
震える声で恭子が叫び、ギャラリーの展示室から出て行った。
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