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甥っ子が眼鏡をクイっと上げました。
老婆から見るとまるで甥っ子の目が光ったように見えました。
「な、なにをバカなことを!」
「案外、あんたのその手に提げているカゴを探すと出て来るんじゃないのかな? リンゴに注入した青酸カリと、それを注入する時に使った注射器が」
老婆はギクッと体を硬直させました。オデコからは一気に汗が吹き出し始めました。
「ババア、テメェ……」
小人が老婆を捕らえようと身構えます。
それを見て老婆は小屋の出口へと駆けだしました。
「待て!」
しかし、甥っ子は慌てません。しゃがんで自分の靴のダイヤルを回すと、そばにあったサッカーボールを老婆めがけて蹴りつけました。
ボールはすごい勢いで老婆を吹き飛ばしました。
「あ! 薬瓶と注射器!」
「あ! お妃さま!」
サッカーボールに吹き飛ばされた衝撃でカゴから薬瓶と注射器が飛び出し、お妃さまの老婆への変身は解けてしまいました。
お妃さまは最後の力を振り絞って、甥っ子にたずねました。
「お、お前、ただの甥っ子じゃないね……。一体何者なんだい!?」
甥っ子は首元の蝶ネクタイを整え、ジャケットの襟を直し、胸を張って答えました。
「俺の名前は江○川コ○ン。探偵さ!」
ちゃんと白雪姫が逃げられるか心配した家来は、ひそかに毛○小○郎探偵事務所に白雪姫の護衛を頼んでいたんじゃったとさ。
めでたし、めでたし
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