18人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、楓と太陽は詩と会った。彼女と入ったスタジオで二人は椅子を借りて座っている。
「結局、これが彼女にとって一番良い薬だったんだ」
「そうだね。やっぱり彼女は歌が一番好きなんだよ」
「昨日の勝負、オレの負けだ」
「いや、この話に勝ち負けなんてないさ」
「ええ、そこの二人」
二人の目が詩の方に向いた。
「ありがとう。おかげでまた立ち上がれました。それもこれも二人のおかげです。それでは聴いてください」
ある日見た空は
どうにも苦しくてさ
私はどうすることもできずに
閉じこもっていた
そこに差し出された手は
私には痛すぎて
振り払った思いはどうにも
諦められない願い
創造と破壊の間で
傷ついたことは何度も
あるけれど今日は
また歌えそうなんだ
ダイヤモンドのように綺麗な
星たちの元で私たちは
何かを作ろうと必死で
道を駆け抜けている
大丈夫、まだ大丈夫
私はもう立っている
今はまだ辛いけど
ちゃんと走っているよ
だから、お願い
聴いてほしい
私の歌を
彼女の歌がスタジオ中に響き渡る。楓と太陽はそれに聴き入っていた。彼女はもう大丈夫だった。再び走り出した道には希望があったから。
最初のコメントを投稿しよう!