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真夜中、詩はベットの上で毛布にくるまっていた。
「お前は出来損ないだ」
「でしゃばるんじゃない」
そんな彼女の言葉たちが頭の中で何度も、何度もリフレインする。
「私は出来損ないだ。出来損ないだ……」
彼女が怯えている。そのタイミングでスマホが二回ほど鳴った。彼女の部屋に着信音だけが響き渡る。彼女は恐る恐る、スマホの通知を確かめた。太陽からのダイレクトメッセージだった。
「新しい歌です。聴いてほしいな」
そのメッセージには一本の動画が添付されている。彼女はそれを再生した。
今日も空が痛くてさ
辛くてどうしても
閉ざしてしまう扉
何かがあっても
口をつぐんで
気づいたら今日も
夜が来て
僕らには何ができんだ
わからないから探してる
その日々で冷たい言葉が
剣のように刺さっても
ああ、今日も夜は悲しいな
誰も触れることはできないけれど
きっと確かな思いは伝わるはずさ
だから立ち上がってほしい
大丈夫じゃないけど
きっとまた走れるさ
Sing song again
「少し、下手だよ。太陽……」
その歌は彼女の心を突き動かした。窓からは夜明けが差し込んでいる。彼女は立ち上がった。
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