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「じゃあもう帰って良いよ。わざわざごめんね」
大したことでなくて安堵したと同時に瑞希は拍子抜けした。
「心配して下さってありがとうございます」
瑞希はニッコリと笑い扉に手をかけた。
「あっ」
「どうしたの?」
「先生、警察の人ですよね? この事ってやっぱりなっちゃ……上野さんにも黙ってた方が良いですか?」
「!?」
徳田は動揺を隠せなかった。自分よりも半分ほどの年齢でしかない目の前の少女の言葉に耳を疑った。
「あっ、いきなりすみません。でも先生、うちの両親が亡くなった時にお葬式と現場の捜査にいらしてましたよね」
––––あり得ない
(私のことを認識している? だとしたらいつから? 条件は揃っていたはず。解除された? だとしたらいつ? 初歩的なミスをした?)
そう思い、胸ポケットに目をやった。
(ある! 一体どうやって!? 手元の資料では私の超能力を突破することなんて不可能なはず!? この子は既に超能力を発現しているの? 他人の超能力を無力化する超能力?)
次の女子生徒の言葉が徳田をさらに困惑させる。
「4年前は髪の毛肩くらいまでしかなくて、それに眼鏡もかけてたから今と雰囲気が全然違うので最初ビックリしました」
(いやこの子の話からして発動したままだ。でも分からない。どうやって私が警視庁から派遣されたと特定できたの!?)
「えぇ。黙っててもらえるとありがたいわ」
やっと声に出せた言葉がこれだった。認めてしまった。完敗だ。
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