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「分かりました。さようなら」
「さようなら」
膨大なサイクスを身に纏ったその少女を初めて恐ろしいと感じた瞬間である。
瑞希はサイクス学職員室を後にして足早に教室に向かった。
「あ、月ちゃん! 早かったね。どうだった?」
瑞希を見つけるなり菜々美は尋ねてきた。
「うん、困ったことあったら教えてねって」
「なーんだ。お説教じゃなかったのかー。あの眼鏡の奥にある優しくも冷たい目で見られながら注意されたのかと思っちゃった」
(これだ)
この周りの生徒と私の間にある徳田 花への認識の違い
「なっちゃんって徳田先生が眼鏡外してるの見たことある?」
「ないよ」
「徳田先生って髪の長さミディアムになるんだよね?」
「そうだよ。月ちゃんようやくミディアムって言ったー」
「え?」
「いや月ちゃんたまに徳田先生髪の毛長くて綺麗って言ってたじゃん? 月ちゃんの髪型だと長く見えるかもだけど肩くらいの長さは一般的にはミディアムって言うんだよ」
「だよね」
(ビンゴ)
徳田 花は私にだけ超能力をかけている。私だけ彼女に対する外見の認識が違う。
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