第1話 - 思案

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(月島さんは確実に私の超能力にかかっていた)  花は自信の手に付着した雫をじっと見つめる。手の型に沿って少量のサイクスが流れる。 (私の超能力、〝私とあなたの秘密(シークレット・フェイス)〟) 対象者の意識を刺激して私自身の容姿を誤認させる超能力(ちから)……!!  ① 対象者と目を合わせる  ② 対象者と同時に私物に触れる  ③ 解除しない限り同時に触れた私物を所持しておけばその効果は永続する。但し、その私物を所持しなかった場合強制的に解除される  ④ もし対象者と共通の知り合いがいればその人物の顔に認識させることが可能  ⑤ 対象者と昔会ったことがある場合、超能力をかける際に対象者が自分の”顔”を思い出した時点で超能力にかけることは不可能となる。  〝私とあなたの秘密(シークレット・フェイス)〟は対象者の意識に直接刺激を与えるため周囲の人々との容姿の認識の差に違和感を覚えることが少なくなる。 (報告によると月島さんは残留サイクス(超能力者はその場に微量なサイクスが残留する。サイクスの指紋のようなもの)を認識することができる。さらに色も可視化されて超能力のタイプまで分類ができるってあったわね……。生まれつき残留サイクスを見ることができる超能力者は一定数存在する。そして月島さんのようにサイクス量が多い者にはその残留サイクスからタイプを分類できてもおかしくない。けど、私のように精神刺激型超能力者は多くいるわ。個人までは特定できないはず。一体どうやって私の超能力(ちから)は看破されたの?)  花は浴槽の淵に頬を乗せながらあらゆる可能性に思慮を巡らせる。
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