第3話 - 意思とサイクスの親和

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「(多くの人はこの超能力(ちから)は両親を殺害した犯人を絶対に捕らえて復讐を果たす強い意思の表れだと言う。しかしそれは違う。あれだけのサイクス量、手っ取り早く犯人を捕らえ、殺す超能力を開花させることも可能だったはず。そうしなかったのは犯人を捕らえ、法律に則った罪を償わせるという意思、そして何よりも被害者(両親)の最期に寄り添いたいという願いを体現している……愛香は本当に優しい子なんだ……)」  愛香はまず江口涼、その次に斎藤光一に触れた。そして同時に映像を再生した。  2人は仕事の同僚なのだろうか、スーツ姿でこの現場近くである東京都第3地区14番駅東口にある商店街の入り口を歩いている。  少し早送りをしてみる。  江口と斎藤は角を曲がり、現場である風俗店が並ぶ裏路地に入る。  2人は同時に首を抑えて後ろを振り向いた。その表情は少しの驚きと針に刺された様な痛みを感じたのだろう、少し顔が痛みで歪んでいる。    その数分後、2人はまるで感情を失ったかの様に無機質な表情へと変化した。2人は殴打、蹴りといった格闘で戦闘を始めた。  現場にもある様にコンクリートの地面にはヒビが入り、相当激しかったことが窺える。これは他3件の現場と状況が一致する。  
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