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第4話 - 日常と異常
翌朝、阿部翔子は2階の自室で寝ている瑞希を起こしに向かった。扉を開けるとまだあどけなさの残る少女は眠っていた。今年で28歳になる自分がまだ高校生になったばかりの少女に一瞬見惚れてしまう。
小さく寝息をたて、無防備に晒すその寝顔を見ると、通学のために起こすことは何かの罪に問われてしまうのではないかと錯覚してしまう。
思わず頰を触れそうになる自分の手を制し、瑞希に声をかけた。
「瑞希ちゃん、朝よ。起きなさい」
何度か肩を揺らした後、瑞希が目を擦りながらようやく起き上がる。
「んー……。翔子さんおはよ」
「おはよう。よく眠れた?」
「うん。お姉ちゃんは?」
「昨日夜中の3時過ぎに帰って来たわよ。まだ寝てる」
「そっかー。お仕事大変そうだね、、顔洗ってくる」
「はーい。顔洗って着替えたら下りてらっしゃい。朝ご飯出来てるよ」
後ろで伸びをしている瑞希を背に翔子は部屋を後にした。
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