第5話 - ワタシノモノ

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第5話 - ワタシノモノ

 上野菜々美は体育館裏を抜けて旧校舎・事務室へと徳田花を運び、椅子に座らせた状態にして縄で縛った。その後、生気を失った顔で佇む年老いた男性に注射器を刺し、声をかけた。 「起きないとは思うけどしっかり見張っててね」  そのまま男性は徳田の正面へと立った。  そしてもう1人40代を超えているであろう女性にも注射器を刺して「よろしくね」と軽くウィンクをして旧校舎を後にした。  この東京第三地区高等学校は旧校舎の老朽化により100年以上前に現在の校舎へと移り変わった。学校OBや地域の住民の要望もあり、旧校舎は500年以上の歴史ある建造物として改修工事の後、一部が残され、現在は博物館として機能している。先の男性は館長、そして女性は受付として働いている。
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