第5話 - ワタシノモノ

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「あっ! なっちゃんどこ行ってたの?」 「お腹痛くなっちゃったからトイレ行ってた〜」 「大丈夫? 休んだら?」 「大丈夫だよ〜。保健室にも行って先生に薬も貰ったし」 「そっか。なっちゃん注射器打ったまま走ってったから分かんなくなっちゃったよ。先生と話した後なっちゃんの方見たらもういないんだもん」 「ごめんね、月ちゃん」  少し膨れている瑞希の様子を見ながら菜々美は心がざわつく ––––私のモノにしたい  7歳の頃に近所に月島家は引っ越してきた。政府からの指示でお互いに第一東京特別教育機関へと入学し、私たちは学校でも外でも常に一緒にいた。 「月ちゃんのこと好きー」  私たち以外の女の子たちもよく友達同士で「好き」という言葉を発し合っていた。そして周りの大人たちも子供たちの可愛いじゃれあいに笑みを浮かべながら見守っていた。
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