2.sure, I saw.

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 翌朝、全校朝礼で早期下校を指示された時、怨嗟の声は膨れ上がった。文化祭まで二週間、どの文化部も居残っていた。 「畜生! まぁた桐原の仕業かよ」 「翔、本当に不審者がいたら危険じゃんか」 「いるはずねぇ! こいつはいつも嘘ばかりだ」 「狼男は本当にいたんだ!」  教室の視線は半分程は瑛人を責め、半分程は本当かと不安を訴えた。けれども前者が優勢になるまで時間はかからなかった。  学校は各部活に聞き取りをし、誰がいつ残っているかを調査した。文化祭が近く、思いの外多くの生徒が残っていた事が判明し、藤井の帰宅時間に付近に生徒が残っていても矛盾しない。  そして学校は多くの生徒の抗議を受け、教師が一時間毎に学内を見守ること、必ず教師が監督し、必ず2人以上で行動することを前提に、一部の部活に居残りを許可した。  生徒は恐々とし、教師は如実に疲れを蓄積させていく。警察にも届けられ、何人かの生徒は文化祭準備で忙しい中事情聴取を受けた。その頃には瑛人は級友全員から無視され、廊下ではヒソヒソと後ろ指を刺されるようになった。 「ごめんなさい。私のせいで、勘違いだったかもしれない」 「本当に誰かいたかもしれないでしょう?」 「そうそう、岬はわるくないよ。桐原があんな話したから不安になったんだよね?」 「だから狼男はいるっての!」  叫ぶ瑛人に向けられた目は冷たかった。瑛人は狼男、もとい「刃物を持った人」を見たという認識を頑として改めなかったからだ。いつもの騒ぎ以上に瑛人に向けられる視線は批難染み、既に誰も信じようとしなかった。  まともに相手をするのは一哉と、ある意味、翔だけだった。
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