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エピローグ
月日は巡り、居心地の悪さも随分薄れ、今や会社に漂う都市伝説と化した。まぁうがった目で見られないこともないが、なかなか要職につけなかろうと、春妃は別に構わなかった。
朝礼を指揮する係長の紙の枚数からも、しばらく忙しくなることが予想された。
今や警察関係者?がいると噂される会社は依頼も増え大忙しだった。
前に立つ人が言った。
「…じゃあ班割りします。」
「って!なんで東くんなのよ?」
春妃が小さな声で愚痴る。
周りのメンバーがくすくすと笑った。
「…僕が係長になったからですよ。」
小さな愚痴を聞き漏らすことなく、東はしれっと答えて来る。
くっ!
まさかこんな日が来るなんて。
東が仕事が出来ることは周知の事実な気もするけど、あまりにも早い出世。
春妃のやきもきも全く気にすることなく、東がみんなに仕事を割り振って行く。
「…じゃあこの案件は、東西ペアで。」
「また!?」
思わず春妃は声を上げた。
最近春妃は東と組んでばかりだった。
周りからは抑えた笑い声が聞こえてくる。
「…文句を言うようでしたら、ずっと東西ペアにしますよ。」
春妃はぐっと黙った。
だが小声で
「職権濫用よ。」
と最後に小さな反抗を示した。
はぁ、と東はひとつため息をついた後、パタリとファイルを閉じた。
う…何か言って来る。
春妃は身構えた。
東は勿体ぶって、悪戯そうな顔を春妃に向けて言った。
「…あぁ、今のチーム分け、
ひとつ訂正がありました。
厳密には
東西ペアでは無いですね。
東春妃さん。」
春妃の顔が真っ赤になった。
何故か周りから拍手が起きた。
〜Fin〜
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