眠り姫B

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「おーい、起きろぉ」  彼の声とともに、勢いよくカーテンが開く。お日様の光が容赦なく差し込み、私は今日もブサイクな顔になりながら目を擦った。 「えぇ……もうちょっとだけ……」  それからいつものように、布団を被り日光を遮った。しかしながら、"おりゃ"という声と同時に、布団ごと抱き締められた。春巻きの刑だ。慌てて布団から這い出ると、その直後、柔らかい感触が頬に降りる。 「早くしないと遅刻しちゃうよ、ひかりちゃん」  あろうことか、彼は笑っている。憎らしくて睨みつけてやったが効果はなく、もっと愛おしそうに笑うだけだった。
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