魔悪ノ使天

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 日は完全に沈み、空には数多の星が散りばめられていた。 「あーあ、すっかり夜になってしまった」  天使は残念そうに夜空を見上げていた。 「私を殺めようとした悪魔は、あの無数の星屑のどれかにでもなって復讐の機会を待っているのかな」  天使は独り言を呟きながら、再び巨石の上に上がった。 「でもあの悪魔の気持ち、すごく分かるわ。なりたくもない偽りの自分を演じ続けなければいけない苦しみを断ち切ろうとした狂気。あ~あ、いい加減私も疲れてきちゃった」  天使は大きく手を広げた。 「正義、高潔、善、光……そんなイメージを守る為にいい子ちゃん演じるの、今日で卒業します!」  天使の翼は闇に染まるように白から黒へと変化する。 「アッハハハハハハハハ、誰も私を束縛なんて出来やしない。偽りの私はもう死んだ!私はもう自由になったんだから!」  天使は狂ったように高笑いし、目から黒ずんだ涙を流しながら漆黒に染まった翼を羽ばたかせ、夜空の果てへと飛び去った。                                    —完—
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