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寒い。 そう思いながら、伊吹 愛(イブキ マナ)は目を覚ました。 髪は少し茶色がかったショートヘア、瞳の色も同じく少し茶色く、目はつり上がり気味のパッチリした二重まぶた。 身長は159cm、スリーサイズは上から79、60、85、足のサイズは23.5cm、体重は52kg 十七歳の彼女は、当たり障りの無い性格をした元陸上部の女子高校生。 100mのタイムは13.31秒、中学の頃は県大会に出場していたが高校に入ってからタイムが伸び悩み、部を辞めてからはコンビニでバイトを始めた。 成績は丁度中間で、少し足が早い事以外は至って平凡だった。 そんな彼女は、今・・・全裸で冷たい台の上に大の字で拘束されていた。 両手、両足は勿論、胴体と首も革のベルトで固定されており身動きがとれない。 意識がハッキリしない彼女は何故、このような状況にあるのかまるで理解できていなかった。 記憶が定かじゃないが誘拐されたのだろうか・・・そう思いながら青ざめた顔で首を横に動かすと、部屋に調理器具が並べられているのが見えた。 それと、ドアが一つ。 「ここは、厨房?何故、私がこんなところに・・・」 どうすれば良いかわからないまま、恐怖に身を震わせながらマナは助けを求めて声をあげる。 「誰かいないの!?助けて!!」 すると、ドアが開いた。 現れたのは、白いコックコート姿に白い狐の面をつけた二人組だった。 「・・・なぁ、なんで喋ってるんだよ?」 「知らねえよ。てか・・・こっち見てるぞ。これ、意識あるやつじゃね?」 声からして男性なのは間違い無い。 マナは自分が全裸だという事を忘れて助けを呼んだ事を後悔した。 恐怖と羞恥心から、目から自然と涙がこぼれる。 「あなた達、誰なの?なんで、私がこんな目に?お願いだから、これを外して!」 マナを見た狐面の二人組は、顔を見合せ腕組みをして考えこむ。 「なぁ、工藤(クドウ)・・・これ、報告した方が良いやつ?」 「いやまて、鈴木(スズキ)!ようやく、俺達に訪れたチャンスだぞ?中断なんて事になったら・・・他の奴らに回されるかも知れん!やり辛いが、始めようぜ」 そう言って、工藤は調理台の引き出しを開けて注射器を取り出しマナへと歩み寄る。 「ちょっと・・・待って!何なの、注射器(それ)は?私に注射する気!?」 身動きとれない台の上で踠くマナの右腕に工藤は注射針を刺す。 「血液をゲル状に固める薬だ。調の際に飛び散る血を少なくするんだよ・・・それにしても、本当にやり辛いな」 マナは工藤が言った言葉を理解するまで、数秒かかった。 そして、声を震わせ尋ねる。 「まさか・・・私を調理するつもりなの!?」 それまで黙っていた鈴木が電動ノコギリを手にしてマナを見た。 「それが俺達の仕事なんだよ・・・いつもなら、はずなんだがな・・・運が悪かったと、諦めてくれ」 そう言って、鈴木は電動ノコギリのスイッチを入れマナへと歩み寄る。 「や、やめて・・・嘘でしょ?ねぇ、やめてよ!」 電動ノコギリの音で聞こえないのか、無視しているのかは定かでは無かった。 ただ、どちらにせよ鈴木がマナの右腕を切断する事をやめる・・・なんて事は無い。 マナの泣き叫ぶ声と電動ノコギリが肉と骨を切る音が部屋に響いた。 「ひ、ひ・・・ひ・・・」 目からは涙、鼻から鼻水、挙げ句、失禁したマナは肘下から切断された自分の右腕が運ばれて行くのを痙攣しながら見つめる・・・そんなマナを見て、工藤が溜め息を漏らす。 「はぁ~」 「やめろよ、溜め息は幸せが逃げるんだぜ?」 「じゃあ、どうすんだよ・・・この憂鬱な気分を?俺は女をいたぶって性的興奮覚えるようなタイプじゃねぇんだよ」 「ん~・・・そうだな、楽しくなるような曲でもかけるか」 そう言って、鈴木はスマートフォンを調理台に置いた。 タラタタタタタ タラタタタタタ タラタタタタタタタタ タッタッタラッタ♪ スマートフォンから、某3分クッキングのテーマ曲が流れ出し、二人はそれを聴きながら調理を開始した。
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