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「我々はウイルスを克服し、地上を取り戻さねばならない。そう、このままでは地球そのものがウイルスに犯され滅んでしまう!優秀な人材から、順番に抗体を接種するのです。接種の方法?それは、抗体を宿した人間を食べる事です。は?人道に反する?人類存続と、たった一人の少女の人権なんて天秤にかけるまでも無い!それより、分かっていますか?彼女のクローンを作る事ができるのは、私しかいないと言う事を!」
科学者達に向かって、若かりしころの深井が叫ぶように訴えかけていた。
深井はベッドから身を起こす。
「・・・若い頃の夢か。ワシも60を越え、年老いてきた。完全に若返るか、若い身体に脳のデータを移植する研究を成功させねばならんのう」
そう言いながら、隣に寝転がっている女性を見る。
「博士は・・・十分にお若いと思いますよ」
若い女性はサラサラの長い髪をかきあげた後、深井博士に奉仕を始める。
「これ、マリア・・・これはmorning erectionじゃから・・・」
助手であり深井博士の情婦でもあるマリアはライトブロンドヘアの美しい女性で、年齢は二十代後半、身長は164cm、体重53.5kg、スリーサイズは上から95、59、87というナイスバディ。
少し垂れ気味の二重の大きな目、瞳の色はライトブルー、右目の下には泣きボクロがある。
性欲が猛烈に強い深井博士は年齢による衰えというモノが無い!
深井博士はマリアの奉仕を眺めながら、その姿にマナを重ねながら考える。
クローンは記憶や感情までもコピーする事はできない。
だから、クローンは喋る事なんぞできないハズ。
だが、確かに大統領に食わせたマナは意思を持っていた。
それから数ヶ月後・・・権力者のガキに食わせるハンバーグ用のマナも同じく意思を持ち合わせていた。
何故、そんな現象が起きている?
これも、未知なる力を持った抗体の成せる業なのか?
ごくん
深井博士の射精した精液を音をたてて飲んだマリヤンは、更にお掃除を開始。
「マリア・・・そんなに!」
数時間後
深井博士の研究室に黒服の男がやってきた。
「精肉工場が攻撃を受けました」
「またか・・・バカのやることは、全くもって理解できん。あれのクローンを作るのに、どれだけの時間と金を費やしていると思っとるんじゃ?」
軽く頭を左右に振り、深井博士は呆れた様子で椅子に座る。
「それより、クローンの中に意思があるモノは?」
「今のところ、報告はありません」
「わかった。ワシは研究を続ける・・・また、何かあったら報告しろ」
「はい、かしこまりました」
黒服の男は会釈して、研究室を後にした。
「やれやれ、あのイカれジジイのボディーガード・・・他に代わりはいないのか?教官に相談してみるか」
今まで最前線で活躍していた彼にとって、深井のボディーガードは苦痛でしかなかった。
そして、仕事とは言え深井の指示に従い無抵抗な人間に手をかける事にも嫌気がさしていた。
黒服の男はスマートフォトを取り出し、恩師である教官へ連絡する。
「お前の代わりだと?まぁ、いないことも無いが・・・」
「いるんですか!?」
思わず喜びの声をあげる黒服の男に教官は自慢気な声で告げた。
「俺が育て上げた中でも一番だな。経験を積めば、お前以上になる素質がある」
「そいつは聞き捨てならないですね。ですが、この際、それはどうでも良いです。名は何と言うんですか?」
「聞いてどうする・・・直接、頼み込むとか面倒くさい真似する気じゃあるまいな?そいつは、襲撃された精肉工場を任せる事になってる。ちょっかい出すなよ」
「出しませんって!興味と関心から、名を知りたいだけですから!」
少し間を開けた後、教官は渋々彼の名前を口にした。
「安達 睦月19歳だ」
「へぇ~東洋人ですか?」
「身長は165cmしか無いが、身体能力は過去一だ。素手の勝負なら、お前が負ける事は無いと思うが剣戟なら良い勝負になるかもな。それと、拳法も仕込んである」
「教官、マーシャルアーツの他にも様々な武術指南してましたもんね。そんなベタ褒めしたら、天狗になってるんじゃ?」
「謙虚で真面目なやつだよ。ちと、闘争心が足りないが・・・仕事ぶりには支障は無いな」
黒服の男は久しぶりに教官と話せたのが良い気分転換となり、少し気が和らいだ。
「ムツキか、いずれ手合わせしたいもんだな」
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